52 Hz  ·  The Whale

52ヘルツのクジラたち

町田 そのこ

2021年 本屋大賞 第1位

誰にも届かない声で、
それでも鳴き続けているあなたへ。

Introduction

作品紹介

大分の海辺の小さな町。東京からひとり逃げるようにやってきた女性・貴瑚(きこ)は、傷だらけの体で虐待を受けている少年と出会う。母親から「ムシ」と呼ばれ、声も出せなくなったその少年に、かつての自分の姿を重ねた貴瑚は、少年に手を差し伸べることを決意する。

物語は現在と過去を行き来しながら、貴瑚がいかにして家族に人生を搾取され、そしてある恩人によって救い出されたかを丁寧に描いていく。児童虐待・家庭内DV・毒親・介護・トランスジェンダーなど、現代社会が抱えるリアルな問題と向き合いながら、それでも「声を聴いてくれる誰か」との出会いが持つ力を、切実かつ温かく描き出した作品。

タイトルの「52ヘルツのクジラ」とは、他のクジラには聞き取れない特異な高周波数で鳴く、実在の孤独なクジラのこと。群れの中にいながら誰にも声が届かない──その象徴が、登場人物たちの孤独と深く重なっていく。

「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
── 本文より(中央公論新社刊)

2024年3月には杉咲花主演で映画化され、大きな反響を呼んだ。

Reviews

読者の声

★★★★★ 高評価

「世界でたった一頭だけ52ヘルツの高い声で歌うクジラがいる。たとえ群れが近くにあっても他のクジラたちには聞こえない。でもどこかに自分の声が届いているはずだと信じて歌い続ける」──そんな登場人物たちと自分自身を重ねながら読んだ。魂の番に出会う瞬間というものが、人生に数回だけあるのかもしれないと思わせてくれる。

参照:ブックライブ レビュー(一般読者)

★★★★★ 高評価

読みながら涙が止まらなかった。内容はヘビーだが、必死に生きるさまや、人と人が手を伸ばしあう姿に強く引き込まれた。虐待・トランスジェンダーなど重いテーマを扱いながら、最後にはどこかに光が見える。手に取って本当に良かった一冊。

参照:honto 電子書籍ストア レビュー(一般読者)

★★★☆☆ 中評価

虐待の描写が悲惨で、読み進めていると気持ちが沈む場面が多かった。ここまで辛い設定が続く必要があるのか、と思った部分もある。ただ、主人公の周囲の人々が温かく、最後はほっとできたし、子どもを守ることの難しさについても考えさせられた。

参照:紀伊國屋書店ウェブストア・読書メーター レビュー(一般読者)をもとに要約

★★☆☆☆ 批判的な声

虐待やDVなど、明らかな犯罪行為が起きているにもかかわらず、誰も警察に頼ろうとしない展開に現実感が薄れた。善意だけで人を救おうとする物語は美しいが、登場人物の無能感のほうが強く感じられてしまった。(映画版の感想を含む)

参照:映画.com ユーザーレビュー(一般読者)をもとに要約

Author

著者プロフィール

氏名 町田 そのこ(まちだ そのこ)
生年 1980年3月9日生まれ
出身 福岡県出身・同県在住
経歴 理容師・専業主婦などを経て28歳で作家を志す。2016年「カメルーンの青い魚」で第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞しデビュー。現在は北九州市文化大使も務める。
代表作 夜空に泳ぐチョコレートグラミー/52ヘルツのクジラたち/ぎょらん/星を掬う/宙ごはん/あなたはここにいなくとも/コンビニ兄弟シリーズ
受賞歴 2021年本屋大賞第1位(本作)

※プロフィール情報はWikipedia・ブクログ・PHP研究所等の公開情報を参照

Bibliographic Info

書誌情報

出版社中央公論新社
単行本2020年4月21日刊行 / 272ページ / ISBN: 978-4-12-005298-9
文庫版2023年5月25日刊行(中公文庫)/ 312ページ / ISBN: 978-4-12-207370-8
※文庫化特典として書き下ろし短編収録
映画化2024年3月公開(主演:杉咲花 / 監督:成島出)

※書誌情報は版元ドットコム・楽天ブックス・中央公論新社公式サイトを参照

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※虐待・DV等の描写が含まれます。精神的に消耗しているときは読む時期を選ぶのも一つの選択です。